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路線価について、産経新聞、社会部長 森脇睦郎が書いた記事を紹介させていただきます。

 「路線価上昇率 大阪トップ」。今月1日夕刊の1面に威勢のいい見出しが躍った。路線価の19年分調査結果について、国税庁が発表した内容をまとめた記事だ。

 それによると、全国の都道府県庁所在地で調べた複数の路線価のうち、最高額となった「最高路線価」同士を比べると、東京・銀座の銀座中央通りが22年連続の日本一。しかし、前年比上昇率で比べると大阪・キタの阪急百貨店前が40・3%を記録して日本一となった、という。

 一般読者からすれば「地価上昇=景気上昇=商売繁盛」とつながっていくから「喜ばしい」ことかもしれないが、路線価は本来、相続税や贈与税の算定基準となる数値であり、今年中に相続や贈与で土地を取得した場合に適用される。土地取引のための数値ではなく、課税額算出のための数値だということは、今年中に親を亡くして土地を相続せざるを得なくなった人の納めるべき税額が跳ね上がったということである。そういう当事者にとっては路線価のアップは、むしろ迷惑なことなのだ。

 かつて、バブル経済の真っただ中、路線価の急上昇で相続税が納められず、代々受け継いできた老舗店舗を閉店せざるをえなくなった人の悲話を紙面で大きく取り上げたことを覚えている。地価上昇は人を幸福にする一方、不幸にもするということを忘れてはならない。

 もうひとつの“ワナ”は、公的土地評価にはいくつも種類があって、毎年それぞれ発表されるたびに土地を「上昇」「下落」させる目に見えない力を世間に及ぼすことだ。

 路線価の発表は毎年8月1日だが、不動産鑑定士らによる調査は1月1日時点。同じ日に調査する「公示地価」は、3月下旬に国土交通省から発表される。公示地価と路線価は別々の調査とはいえ、実際はおおむね「公示地価×0・8=路線価」であり、調査の年の地価変動傾向は、2つの発表の間でも大差ないはずである。

 ところが、発表時期が異なっているために、3月の公示地価発表を見て「上がった」「下がった」と騒ぎ、8月の路線価発表をみて再度「上がった」「下がった」と騒ぐのが実態だ。地価の変動が3月に1回あって8月にもあったわけではないのに、2回の変動があったように思ってしまうのである。

 さらに、もうひとつ地価調査の発表がある。毎年7月1日に都道府県が調査した結果を9月下旬に発表する「都道府県地価調査」だ。1月1日調査の公示地価、路線価に比べ、半年後の調査が上昇していれば、上昇傾向がはっきりしたことになり、反対に下落していれば下落傾向がはっきりしたことになってまた騒ぐ。3回目の地価変動があったと受けとめて、地価上昇局面なら「高騰」しているように錯覚し、下降局面なら「急落」のように錯覚してしまう。こうした心理も一因となってバブル期の地価高騰、バブル崩壊後の地価急落を生んだことは否定できないだろう。

 いま三大都市圏では地価のミニバブル状態となっていると、不動産会社や銀行の知人から聞いたことがある。耳にしたのは、昨年のことだが、そのとき同時に「投資ファンドは、そろそろ土地を売り抜けて利益を確保しようと画策しているらしい」とも聞いた。記者のように持たざる者にとってはどうでもいい話だが、持つ人たちにとっては大事な決断のときが迫っているのかもしれない。

次に、朝日新聞の記事を紹介します。

相続税や贈与税の算定基準となる07年分の路線価(評価時点1月1日)が1日、国税庁から公表された。全国で約41万地点ある標準宅地の平均路線価は1平方メートルあたり12万6000円で、バブル崩壊後初めて上昇に転じた前年に続き2年連続の上昇。上昇率も前年の0.9%から8.6%へと大幅に伸びた。東京・銀座など都心の一等地では30%を超え、一部の地価はバブル期並みの水準にまで高騰した。札幌、仙台、福岡などの中核都市でも上昇率は20%を超し、復調は地方にも波及し始めた。

 圏域別の平均額では、東京圏が30万2000円で前年比13.1%上昇。名古屋圏は10万8000円で同9.1%、大阪圏は16万1000円で同8.1%の上昇となった。都心部で続く再開発や好調なオフィス需要、マンションの建設ラッシュに支えられた。3大都市圏以外でも中核都市の上昇に平均が押し上げられ、93年から14年続いていた下落が止まった。

最後に、産経新聞の記事を紹介します。

国税庁が1日公表した平成19年分の土地の路線価が、東京・表参道で40%超の上昇率を記録するなど顕著な上昇を示したことで、首都圏の地価の値上がりを待ってマンションをより高値で売ろうという販売業者の「売り渋り」がさらに加速する可能性がある。

 不動産経済研究所(東京)がまとめたマンション市場動向によると、19年1〜6月の首都圏のマンション発売戸数は2万8284戸で、前年同期比17・2%減と3年連続のダウンだった。


 一方、国土交通省の調べでは、首都圏の新築マンションの着工戸数は17、18年度ともに12万戸超。販売まで1、2年かかることを考えると、年間数万戸を業者が在庫として抱え込んだり、転売目的の不動産ファンドに売られたりしていることになる。


 この背景について、同研究所は「地価上昇に伴い販売価格が上がるのを期待してマンション発売を遅らせているが、消費者は価格の急な値上がりに追いついていない」と分析している。


 実際、今年上半期の東京23区のマンション平均価格は6020万円で、前年同期より1000万円近くも上昇したほどだ。


 今回の路線価を不動産関係者は「予想通り」の結果とみているが、都市部の地価上昇ピッチはかなり顕著だ。マンション販売業者の「売り渋り」も助長されているとみられ、同研究所は今年1年間の首都圏の発売戸数見通しを当初の8万2000戸から7万1000戸へと下方修正。「販売計画があっても実際には物件を出さない業者」が、これからも増えそうだ。


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