大手生命保険会社の間で不動産への投資意欲が再燃
大手生命保険会社の間で不動産への投資意欲が再燃しています。バブル崩壊以降、不動産投資は手控えていましたが、大都市圏の地価上昇とオフィスビルの需要増を追い風に、再開発事業への投資や既存のテナントビルの改装などに動き始めています。将来の地価値上がり期待ではなく、収益性を見極めるのがバブル期との違いです。有望物件を巡り投資ファンドや不動産投資信託(REIT)との獲得競争も激しくなっています。
日本生命保険は9月末、札幌市の中心部に北海道で最大規模となるオフィスビルを開業。3年後には商業棟がオープンする予定で、貸室面積計6万6000平方メートルの巨大なテナントビルになる。国の札幌合同庁舎跡地を買い取り、隣の自社ビルと一体開発。今年度、同社の新規投資額(改装費を含む)は保有ビルの売却額を3年ぶりに上回る見通し。
東京・六本木の防衛庁跡地に来春開業する「東京ミッドタウン」。ここにも生保マネーが流入する。総事業費3700億円のプロジェクトに明治安田生命保険が十数%、富国生命保険が10%、大同生命保険が5%を投資する。
生保は預かった保険料を将来の保険金支払いに備え、有価証券などで運用する。その一環としてオフィスビルなどを建設してテナントを募り、賃料を得るのが不動産投資だ。バブル期は地価の値上がりを見込み積極投資したが、不動産市況の悪化とともにその後はほぼ一貫して売却してきた。生保38社の2005年度末の不動産資産残高は6兆8340億円と10年前より約3兆円減った。
ところがここにきて「新規投資のため情報収集を積極化している」(日本生命)、「利回りの良い物件があれば投資したい」(第一生命保険)と風向きが変わりつつある。地価底入れで含み損が解消していく一方、企業業績の回復を受けオフィス需要が高まっていることが背景にある。
富国生命保険は今年度内に東京や福岡、仙台などのオフィスビルに投資する数十億円のREITを組む準備に着手した。第一生命は約40億円を投じ都内などの社宅8棟を改装・建て替え、今冬に賃貸用に衣替えする。
既存ビルのテコ入れにも工夫を凝らす。全国に約400棟のテナントビルを持つ日本生命は、向こう5年間で130棟の改装を計画する。住友生命保険はコンクリートの玄関を木目調のデザインに変えるなど、テナントの要望を改装に反映させる組織を設けた。
現在、投資用の不動産の利回りは年4%前後と魅力的な運用手段だ。大都市の物件では「ファンドやREITと競合して、欲しくても買えない」(日本生命)との声もある。
生保各社がここ10年で計上した不動産売却損は合計約2兆3000億円。各社は投資先の収益性を吟味しているというが、高い利回りを求めて投資を加速すれば再び痛手を被る可能性もあります。