不動産投資マネー
不動産投資マネーの投資対象となった地方では地価が上昇、一方、対象外の地方は下落が続いている。投資先は東京以外にも広がり、収益性という尺度で国土を再評価し始めたかこうになっています。
9月末、不動産投資信託(REIT)の日本リテールファンド投資法人が京都市中京区の商業ビル、河原町OPAを買った。取得価格185億円はREITによる取得では京都で最大。同区では地価上昇率が30%を超える地点が現れた。
REITの6月末の投資残高は4兆4200億円。前年同期比70%増え、増加率は前年の53%を上回った。私募ファンドの投資残高は6兆円超で、不動産投資マネーは10兆円を超えた。
金融庁は銀行にREIT向けなど不動産融資を慎重にするよう求めています。しかし個人や海外からREITへの資金流入は止まらず、それが不動産投資に向かっていまうす。
■地価押し上げ
マネーは一律ではなく収益性で不動産を選別しながら地方に向かう。それによって国土は3極化の様相を呈している。
ひとつは、再開発で不動産の収益性があがり、マネーが流入している地域。東京23区と名古屋、大阪の中心部だ。
景気回復を背景に企業のビル取得意欲が強い。オフィス空室率が低下し、賃料が上昇。この収益性向上が地価を押し上げている。好循環は2、3年続くとの見方が多い。
2つ目は、地域分散などの目的でマネーが流れ込む地域。東京の優良物件の投資利回り低下が背景で、東京、大阪の周辺と地方中核都市が中心だ。
駅前の再開発やバイパス沿いのショッピングセンターなど一部の収益物件にマネーが流入。収益性向上は局所的で東京のように面的な広がりはないものの、地価に下げ止まり感が出始めた。
そうしたマネーの流入県では経済の正常化が進む。約2年前からREITが投資を始めた岡山市では中心部で地価が上昇。地価下落が経営を圧迫しなくなった中国銀行は地場企業向け貸し出しに力を入れている。
■空白県は低迷
ただ、地方の不動産市場は規模が小さく、マネーの流入が急増すると収益性の伸びを大幅に超えて地価が上がる。京都のほか千葉、神戸、札幌などで、そうした地価のゆがみが広がっている。
3つ目はマネーが流れ込まない空白県だ。収益の見込める投資物件がほとんどないため、マネーに見放された格好だ。
16の空白県の商業地の地価下落率は平均で5.4%。地域金融機関の不良債権の減少ペースは緩慢で、貸し出し余力が限られる。そのため景気低迷が続きやすく、マネーをひき付けられない悪循環から抜けきれない。
収益性で動く投資マネーが地価の格差を広げるのは確か。ただ医療施設、リゾートなど地方で成り立つ投資物件もある。地方に必要なのは補助金獲得ではなく、REITマネーをひき付ける創意工夫にほかならない