不動産賃貸契約書ー修繕義務
第9条(修繕義務) 1 本物件の修繕は甲が負担する。甲がその修繕を行う場合は、甲はあらかじめその旨を乙に通知しなければならない。この場合において乙は、正当な理由がある場合を除き当該修繕の実施を拒否することができない
2 乙の故意または過失による修繕及び別表1に揚げる修繕については、乙がその費用を負担しなければならない。別表1に揚げる修繕については乙は甲の承諾なく行うことができる。
(修繕義務…居住用10条・事業用11条)
民法は、「賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕を為す義務を負う。」(606条)と、貸主の修繕義務について規定しています。
事業用においては、不特定多数の人の出入り等により、通常の使用においても賃貸物件の損耗等が激しいことが想定されます。
そこで、本契約書第11条2項において、「貸室内の床・壁・天井(塗装・壁紙の張替えを含む)の修繕に関する費用は、原則として借主の負担とする。」と定めています。「原則として」とあるのは、賃貸物件の瑕疵等に起因した不具合や借主の責に帰さない不具合等の発生(天災・地変等)については、民法の原則に基づき貸主に修繕義務があるとすることが妥当だからです。
居住用においては、本契約書第10条2項において、「借主の故意または過失による修繕及び別表1に掲げる修繕については、借主がその費用を負担しなければならない。」とし、更に「別表1に掲げる修繕については、借主は貸主の承諾がなく行うことができる。」と定めています。
一般に「小修繕(借主負担)の特約」は借主に一方的に不利な特約には当たらないとして認められていますので、本契約書においてもこの考え方にそって規定したものです。
この小修繕の特約について、裁判所は、「修繕を借主の負担とする特約は、原則として貸主の修繕義務を免除したにとどまり借主に修繕義務を負わせる趣旨ではない」と解釈しています(最判昭和43・1・25)。
例えば、障子・ふすまの張替えについて「障子・ふすまの張替えをする必要があれば借主の負担で行ってください。その場合、貸主の承諾は必要ありません。貸主は張替えの義務は負いません。」という意味になります。
風呂釜の修繕・取替え等は、一般に小修繕とはいえず、特約をしても貸主に修繕義務があるとするのが妥当でしょう。
消費者契約法は、冒頭でも述べましたように、消費者契約において「消費者の利益を一方的に害するものは(仮に特約をしても)無効とする。」と規定しています(10条)。