マンションの眺望変化
「生駒山を望む」と、眺望の良さをPRして大阪・JR難波駅前の超高層マンションを分譲した近鉄不動産(大阪市)が、4年後の昨年秋、約80メートル東に11階分高い別のマンションを建てた。「眺望の変化については事前に承諾をいただいている」と同社側は主張するが、視界を遮られて生駒山を楽しめなくなったとして、住民5人が近く、慰謝料など各750万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こす。都心部で超高層の集合住宅建築が相次ぐなか、「兄弟マンション」を巡る眺望論争が注目を集めそうだ。
同市浪速区湊町の「ローレルコート難波」(28階建て)と、「ローレルタワー難波」(39階建て)。
訴状によると、住民は2001年6〜10月、近鉄不動産が分譲した「コート」の26〜21階に入居。パンフレットには「生駒山を間近に望む眺望」「早起きしたくなる朝の眺めが自慢です」と記載されていた。「大阪シティエアターミナルビル」を挟む東側の土地は開発前だったが、系列の販売会社側から「低層商業施設が建つ。眺望は遮られない」と言われたという。
ところが、近鉄不動産側は03年6月、「コート」管理組合に「タワー」建設計画を発表。一部住民が抗議したが、「パンフレットには良い情報しか載せないもの。適法な建築物なので問題ない」と強調した。「コート」の重要事項説明書でも、購入者の承諾事項として「中高層建築物が建設され、眺望や日照条件などが変化する場合がある」とされていた。
「タワー」は昨年10月に完成。原告側は「眺望が重要な購入動機だったのに、生駒山から昇る朝日が見えなくなった」などと訴え、「近鉄不動産は、売り主として眺望やプライバシーに配慮する義務があるのに『タワー』を建築販売し、その義務に反した」と主張している。
これに対し、同社企画部は「東側の低層商業施設はあくまで『計画』と説明しており、どんな建物が建つか約束していない。眺望が変わる可能性については購入時、重要事項説明書で承諾を得た」としている。
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都心の超高層マンションは、地価下落を背景に近年建設が急増し、利便性や眺望で人気を集めている。
不動産経済研究所大阪事務所によると、大阪市の超高層マンション(20階以上)の年間発売戸数は00年の555戸から、05年は3057戸に増えたという。
眺望を巡るトラブルも目立ち、東京都国立市の14階建てマンションの周辺住民が「並木道の景観が破壊された」として一部撤去を求めた訴訟では最高裁が先月、住民の景観利益の保護を認める初判断を示した。
(2006年04月13日 読売新聞)